最近読んだ面白い本
星新一 一〇〇一話をつくった人 (単行本)
最相 葉月 (著)
最相 葉月 (著)
星新一、私が中学生のころ夢中になって読んだ作家の一人。文庫になったものはすべて読んだとおもう。そんな作家の知られざる内面や懊悩を、事実関係だけを忠実に並べることで浮き彫りにしてあり、大部にもかかわらず、一気に読ませる著者の腕に感服。ただ、若干紋切り型の表現の使い方が気になったのと、結局、星新一が残した作品は一体なんだったのか、星自身が望んだように、未来に残る民話となりうるのか、といった結論が出せなかった点に不満が残る。それと、あきらかに「波枕」の使い方がおかしい箇所があった。
著者も指摘していたが、あれほど中学時代夢中になって読んだのに、一つとしてその作品を思い出せない。タイトルはいくつか思い出すのだが・・・。そこで早速、私の記憶では最高に面白かった「きまぐれロボット」「エヌ氏の遊園地」「ノックの音が」を借りてきて読んだ。なるほど、それは作るのは大変だったろう、とは思うもののやっぱり中学生が読むものかとも思った。もっと中学生のころのワクワク感がよみがえるかと期待していたのだが、なんとなく寂しさが残った。けれども、「気まぐれロボット」のなかのいくつかは、娘に夜寝ながら話してやるのに丁度いいなあ、娘の友達が夏休みに泊まりに来たときに話してやるとウケルかも、と思ったら少し嬉しくなった。1001話のショートショート全部とはいかないが、いくつかは未来に残る民話になりえるのかもしれない。
赤塚不二夫のことを書いたのだ!! (文庫)
武居 俊樹 (著)
私は、赤塚不二夫のメッチャクチャ加減が大好きなのだが、作家がメッチャクチャなら、編集者もメッチャクチャだったというお話。図らずも、この本にも前述の「星新一 一〇〇一話をつくった人」にもタモリが出てくる。タモリは、他にもいろんな作家やジャズメンとの親交があることで有名。文壇バーでの逸話も多数ある。この本には書かれてないが、タモリの形態模写を赤塚はたいそう面白がったみたいだ。裸のスネを水平に出して、ちょっとふくらはぎを押さえ、「子持シシャモ~!」なんんてバカバカしいことをやってたらしい。一見なんの芸も無いのに、芸能界に君臨しているように見えるタモリだが、実は天才を喜ばせる、もしくは天才の才能を引き出す天才なのかもしれない。
武居 俊樹 (著)
座右の名文―ぼくの好きな十人の文章家 (新書)
高島 俊男 (著)
相変わらず、高島俊男はおもしろい。十人の文章家を上げ、その人の書いた文章から、その性格や人間性までも的確に分析する手腕と博識には脱帽。読み出すと、次から次へと知的好奇心をくすぐられ、やめることが出来ない。
高島 俊男 (著)
たとえば 新井白石がなぜ自らその優秀さを書くようになったのかを、その歴史的背景と白石の学者としての実力を解説しながら分かり安く教えてくれいて、知らぬうちに白石に肩入れしていて、新井白石なんて、教科書で名前を覚えただけだったのに、おもわず「西洋紀聞」が読みたくなっていた。
夏目漱石のところでは、「坊ちゃん」の中に漱石の「病気」が影響して書かれた箇所があることや、本質は清との「愛の物語」であることを指摘していて、「なるほど!」、「そのとおり!」と声に出して感心し、柳田國男のくだりでは、私が感心した箇所を、たまたま三島由紀夫も評価していることを知り、一人悦に入り、おもわず次の日には図書館で「遠野物語」とついでに井上ひさしの「新釈 遠野物語」を借りてくる始末。寺田寅彦や斉藤茂吉に関しては、感覚的に共感できてうれしかった。この二人に関しては、世代も知的レヴェルも超えて、私も高島俊男と同じセンスなんだ、ウフフと喜ばされた。
高島俊男は「ぼくの好きな十人の文章家 」に間違いなく入るひとりだ。
23時00分 | 固定リンク

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